Text by COURRiER Japon
2024年、世界の海外旅行者数は14億人と、前年比で11%増加した。人気の旅行先であるスペインには過去最高となる9400万人、日本にはコロナ前の2019年を上回る3700万人の外国人旅行客が訪れた。
しかし、2025年はさらに多くの人が旅行に出かけると予想される。旅行業界向けメディア「スキフト」によると、2025年の旅行件数は、前年比で24%増加すると見込まれている。
今年、世界の人々はどんな旅行に出かけるのか。米紙「ニューヨーク・タイムズ」がまとめた7つのトレンドを紹介する。
進化するクルーズ旅行
パンデミックが終わりを迎え、クルーズ業界は順調に回復するどころか、その需要は記録的なものとなっている。2025年は「MSCワールドアメリカ号」や、昨年就航した世界最大の客船「ワールド・オブ・ザ・シーズ」の姉妹船「スター・オブ・ザ・シーズ」など、ファミリー層をターゲットにしたメガシップの就航が控えている。
ニューヨーク・タイムズ紙の旅行記者セイラン・イェギンスは、クルーズ船のサービスが、これまでの豪華なイメージから、ブティックホテルのようなより洗練されたものへと進化していると指摘。クルーズ会社は船だけでなく、寄港先のプライベートアイランドやビーチクラブなど、陸上への投資にも力を入れている。
超富裕層の向かう先
米旅行会社「エンバーク・ビヨンド」のジャック・エゾンは同紙にこう話す。「ハイエンド旅行市場は、旅行における3つの厄介な問題──すなわち価格の高騰、過密、地球温暖化による高温に対処しているところだ」
コロナ禍で旅行に行きたくても行けなかった人々が、我慢していたものを取り返すかのように気前良く旅行する「リベンジ旅行」のブームは落ち着きつつある。そうしたなか、超富裕層たちは過密や高温のリスクを避け、比較的リーズナブルな価格で滞在できる、人里離れた新築のロッジや、食事やアクティビティの費用がすべて宿泊費に含まれる高級オールインクルーシブリゾートに向かうと予想される。
サスティナブルな旅
2024年は各地でオーバーツーリズムが問題となり、観光がその地の環境やコミュニティに与える負荷について、人々の意識が高まった1年だった。旅行予約サイト「ブッキング・ドットコム」が世界の3万1000人の旅行者を対象に調査したところ、75%が「よりサスティナブルに旅行したい」と回答している。
旅行会社はこのニーズに早速対応しており、滞在費が現地コミュニティの慈善事業に必ず還元されるプログラムや、その土地が抱える社会問題や歴史を学べるツアーなど、サスティナブルを謳うさまざまな旅行プランが増加傾向にある。
とはいえ、これらの旅が必ずしもサスティナブルとは限らない。米旅行会社「ライズ・トラベル・インスティチュート」取締役のヴィンシー・ホーは、旅行会社の「グリーン・ウォッシング」と「倫理ウォッシング」に注意し、批判的思考をもってこれらの旅行プランを検討すべきだと語る。
とはいえ、これらの旅が必ずしもサスティナブルとは限らない。米旅行会社「ライズ・トラベル・インスティチュート」取締役のヴィンシー・ホーは、旅行会社の「グリーン・ウォッシング」と「倫理ウォッシング」に注意し、批判的思考をもってこれらの旅行プランを検討すべきだと語る。
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夏休み、海外旅行で排出した二酸化炭素をどう埋め合わせる?─ある一家の挑戦 |
リッチなフライト体験
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