
4年前、中国の電気自動車メーカー「Zeekr」の工場が建設されたとき、施設にはロボットが500台あった。現在では820台に増え、さらに増設が予定されている Photo: Qilai Shen/The New York Times
Text by Keith Bradsher
住宅を捨て工場へ
数十年にわたり、世界最大の自動車工場はドイツ・ヴォルフスブルクにあるフォルクスワーゲンの工場だった。それが現在では、中国の電気自動車メーカーBYDが、ヴォルフスブルクの2倍の生産能力を持つ工場を中国国内に2つ建設中だ。
中国人民銀行の最近のデータによると、過去4年間で国有銀行は産業部門への融資を1.9兆ドル(約285兆円)増やしている。中国各地の都市周辺では、昼夜を問わず新工場が建設され、既存の工場もロボットや自動化でアップグレードされている。
こうした中国の製造業への投資が、世界中で工場閉鎖や失業を引き起こしかねない「輸出の波」を生み出しているのだ。バイデン政権下で米国通商代表部の代表を務めたキャサリン・タイは、「この津波は、どの国にも襲いかかるだろう」と予測する。
ドナルド・トランプ大統領が発表した今回の関税の大幅引き上げは、中国の輸出攻勢に対する最も劇的な対応であった。
5年前、中国で住宅バブルが崩壊する前は、ほぼすべての都市で高層住宅の建設が進んでいた。現在ではその多くが姿を消し、残っているクレーンもほとんど動いていない。政府の指示で、銀行は不動産から産業部門への融資に急速にシフトしたのだ。
中国では、どの国よりも多くの産業用ロボットが使用されており、それらの大半は国内の企業が製造している。新設備の導入も加速しており、2025年はすでに18%増加している。
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EV移行に苦戦中のフォルクスワーゲンが「ドイツでの工場閉鎖」を視野に |
米国がダメならほかの国へ
5年前、中国で住宅バブルが崩壊する前は、ほぼすべての都市で高層住宅の建設が進んでいた。現在ではその多くが姿を消し、残っているクレーンもほとんど動いていない。政府の指示で、銀行は不動産から産業部門への融資に急速にシフトしたのだ。
中国では、どの国よりも多くの産業用ロボットが使用されており、それらの大半は国内の企業が製造している。新設備の導入も加速しており、2025年はすでに18%増加している。
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