Illustration: Ibrahim Rayintakath for Bloomberg Businessweek

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ブルームバーグ・ビジネスウィーク(米国)

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Text by Adam Popescu

米国では自分の精子を凍結する男性が増えている。そこには文化的な変化や技術の進化が絡んでいるようだ。最先端の事情を、米経済誌「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」が紹介する。

昨夏、アレクサンダー・マッキノンは常に疲れていた。

「午後2時にはソファのうえで寝落ちしていました」

ボストンにあるバイオテックのスタートアップ創業者であるマッキノンは当初、仕事がきつくて疲れているのだろうと思っていたが、時間が経っても疲労感は消えなかった。

9月になって医者に血液検査をしてもらい、その「極度の疲労感」はテストステロンのレベル低下と関連していることがわかった。

エネルギー増強のためにステロイドが処方された。このステロイド注射には精子数を大幅に減らす副作用があった。

32歳のマッキノンと妻は子供をつくるつもりはまだなかったが、将来、つくれなくなるリスクは避けたかった。

「そこで精子を凍結したのです」

精子バンクは何十年も前からあるが、利用するハードルが下がっているのだ。それは、ここ数年のあいだに自宅で使える低コストの化学保存料が出現し、精子サンプルの寿命を何日も延ばせるようになり、気まずい思いをして通院する必要がなくなったからだ。

健康志向の男性のあいだで意識が変わりつつあり、そのことが、精子を郵送で受け取って保存し、生殖に関する健康の分析をアプリ経由で提供する直販スタートアップからなる小さな業界の創出につながっている。


成長する男性不妊症市場


マッキノンが使ったのは、「レガシー」という企業から取り寄せたDIYキットだ。クリニックで使われるような小さいプラスチック製のカップ、保存料になるピンクの液体が入った小瓶、ジッパーで開閉するミリタリー風の丈夫な容器、輸送中の不正な開封を防ぐ南京錠がセットになっている。
残り: 2689文字 / 全文 : 3592文字
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Translation by Yuki Fukaya

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